膵臓を学ぼう

公開日:2017/07/26
最終更新日:2017/06/02

膵臓について

  • 「糖尿病」
  • 「インスリン分泌」
  • 「ガンの進行が異常に早い」

膵臓に関してのイメージは大体上記の3つが当てはまると思います。

間違っていません。実際にそうです。

ただ、膵臓の役割は「インスリン分泌」以外にもありまして、それがまた消化の過程で非常に重要な役割を果たしています。

なので、「膵臓といえば、インスリン分泌と糖尿病」という認識から一歩踏み出した「膵臓」の解説をしたいと思います。

膵臓には大きく二つの役割がある。

膵臓には大きく分けて「二つ」の大きな役割があります。

  • 外分泌腺としての膵臓:「膵液」など消化酵素分泌に関わる役割です。
  • 内分泌腺としての膵臓:「インスリン」などホルモン分泌に関わる役割です。

膵臓は内分泌腺としても重要ですし、同時に外分泌腺(消化器官)としても非常に重要な存在です。

1.外分泌腺としての膵臓

実は膵臓は「消化器官」として最も重要な役割を持つ臓器です。

正常な生命活動を維持する上で「不可欠」な臓器とされています。

皆が思っている以上に重要な臓器

なのです。

その秘密は分泌する消化液「膵液」にあります。

消化液である「膵液」を分泌する

膵臓は強力な消化液である「膵液」を分泌しています。

その量は「1日1リットル」程度です。

この膵液は「重炭酸イオン(HCO3-)」濃度が非常に高い弱アルカリ性なのですが、

食事の栄養物質を消化する全ての酵素が含まれている

引用 標準生理学 p697

という「超高性能」を誇ります。

唾液や胃液はなくても生命活動は維持できます。

でも、膵液(正確には膵液に含まれる酵素)がなくては消化(分解)過程が中断され、正常な消化・吸収が不可能になるのです。

膵液に含まれる酵素には小腸に入って初めて活性化するものもあり、膵液が無くなると、十二指腸内だけでなく小腸内での消化・吸収作業に支障が出ます。

小難しい理屈を述べてきましたが、

膵液が無いと消化は話にならん

という事だと覚えておいてください。

膵臓の病気は予後が悪い、というのは良く聞きますが、実はこういった点での影響が大きいからかもしれません。

膵液分泌の変化について

膵液は常に分泌されていますが、常に同じペースで分泌されている訳ではありません。

  • 安静時(空腹時)の膵液分泌:最大刺激時の2~3%程度の分泌。消化酵素量は10~15%程度。
  • 刺激時の膵液分泌:安静時の30~50倍の分泌。迷走神経経由で起こる。内容物が頭~胃にある時で分泌は起こるが、80%は十二指腸到達時点で分泌される。

膵液は「酸性」を中和する働きを持つ。

膵液は「重炭酸イオンHCO3-」を高濃度で含んでいます。

この重炭酸イオンは胃酸によって「酸性」に傾いている「食物」をアルカリへと傾かせて中和する働きを持っています。

これも「抗酸化」と呼んでいいのかな?

小腸(十二指腸)から分泌される「セクレチン」というホルモンによってNa+とHCO3-の分泌が促進され酸を中和します。

同時にセクレチンは「胃酸分泌の抑制」を図るので酸化が更に抑えられる流れです。

この働きに注目が集まり、「セクレチン」は胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療薬としても活用されているようですね。

HCO3-は「酸の干渉系」として非常に重要です。

膵液に高濃度含まれている重炭酸イオン(HCO3-)は酸化に傾いた身体を「アルカリに戻す」という「緩衝機能」の要となります。

抗酸化の主役の一人

と考えていいのではないでしょうか。

ビタミンEやビタミンCのように外部から補給してどうこうするものではないですが、体内で行っているのは「抗酸化」に違いありません。

是非とも覚えておいてください。

余談ですが腎臓もこの重炭酸イオンによる「ホメオスタシスの維持」に大きく関わっています。

2.内分泌腺としての膵臓

腎臓が分泌しているホルモンの中で覚えておいてほしいのは二つです。

  • インスリン
  • グルカゴン

今後、膵臓は他にも多くのホルモンを分泌していた!といった発見が出てくると思いますが、覚えておくべきはこの二つだと僕は思います。

少なくとも現時点では。

インスリンとグルカゴンの働きについて

また細かく説明をしていくつもりなのですが、まずはざっくりと理解をしておきましょう。

  • インスリン:同化・合成のホルモン
  • グルカゴン:異化・分解のホルモン

色んな説明の仕方を見てきましたが、この「同化・合成」と「異化・分解」の分け方が一番わかりやすいと思います。

  • インスリンは体内でエネルギーの塊を作り貯蔵するのが仕事です。
  • グルカゴンは体内でエネルギーの塊を分解して、エネルギーを取り出す、新たに作り出すのが仕事です。

正にアクセルとブレーキみたいな相対するホルモンですね。

内分泌ホルモンについて1:インスリンについて

糖尿病、血糖値との兼ね合いで良く出てくる「インスリン」とは膵臓が分泌するホルモンの事です。

半減期は約5分、食物の摂取によって5~10倍に分泌量が増加するホルモンです。

インスリンの分泌ペースについて

インスリン分泌は常に一定という訳ではなく、大きく二段階に分かれます。

  • 1段階:貯蔵分が放出される為、急激に分泌される。
  • 2段階:新たに産生されたインスリンが分泌される為、緩やかに長時間分泌される

エネルギー代謝に良く似ていますね。

最初は「貯蔵している分」を使い、枯渇したら「新たに産生しつつ利用する」という形です。

恐らく人間の身体の基本設計ではないでしょうか。

ちなみに、栄養を血中投与するより食物の経口投与の方がインスリン分泌は高効率だそうです。

食道や胃などの消化管がインスリン分泌に関わっているという事でしょうね。

インスリンの「糖の取り込み」以外の役割について

膵臓が分泌するホルモン「インスリン」の役割は「糖質(グルコース)の細胞(骨格筋)への取り込み」だけではありません。

実は他にも色々な役割を担っています。

  • グリコーゲンの合成・貯蔵の促進
  • グリコーゲンの分解抑制
  • 脂肪の合成促進
  • 脂肪の分解抑制

等がそうです。

ホルモンはその標的細胞の受け止め方で異なる働きをする事があるんですね。

本当に人間は複雑な仕組みの重なり合いで成り立っています。

糖尿病について

膵臓の病気として、インスリンの関わる病気として知られているのが「糖尿病」です。

この「糖尿病」とは「尿に糖が含まれる糖尿」が出たから診断される疾患ではありません。

あくまで「血中糖分」が基準となって診断されます。

血中グルコースの飽和状態

基本的に血中グルコースは「10g」となります。

しかし、1日に摂取するグルコースがそれを遥かに上回り、かつ

  • 高血糖が続き、インスリン抵抗性が高くなっている
  • 運動不足により、インスリン非依存性のグルコース取り込み機能が低下している。
  • 肥満体系で脂肪も沢山ついている。

という前提条件が揃っている場合、行き場を失ったグルコースが血中に溢れてしまいます。

血中グルコースは腎臓糸球体で濾過された後、全てが尿細管にて再吸収されるのですが、濾過量が多いと再吸収量も当然多くなります。

それは単純に腎臓の負担です。

そして、その再吸収量の限度を超えてしまった場合、再吸収しきれなかった糖質が尿中に漏れ出るのが「糖尿」です。

腎臓の負担を超えた結果の糖尿なのですが、元を正せば行き場を失った糖質が血中に溢れかえってしまっている事が問題なんですね。

正に血中グルコースの飽和状態がもたらした現象です。

糖尿やせは「糖新生」が原因。

糖尿病患者が痩せていく現象を「糖尿痩せ」といいます。

これはグルコースが細胞に取り込まれなくなった結果、身体は「グルコース不足」と判断をして「タンパク質」「脂肪」を分解してグルコースを作り出す「糖新生」でエネルギーを代替生産しようとします。

ですが、実際はグルコース不足ではなく、取り込み不良が原因なので、糖新生で生まれたグルコースも結局は使われることなく血中に溢れ、糖尿となって排出されます。

でも、身体はせっせと「タンパク質」と「脂肪」を分解し糖新生を続ける。

「身体を削ってグルコースを作り続ける」訳なので、結果的にダルさは取れず、身体は痩せていくんですね。

内分泌ホルモンについて2:グルカゴンについて

インスリンの陰に隠れて余り知られていない膵臓分泌ホルモン「グルカゴン」ですが、とても重要なホルモンです。

その役割は

異化・分解によるエネルギー産生

となります。

グリコーゲン・タンパク質・脂肪を分解し、グルコースへと変えます。

いわゆる「糖新生」を司るホルモンという事です。

糖新生のデメリット

体内でグルコースを作り出す「糖新生」は一見すると魔法の方程式の様に感じます。

外部からの供給無しにグルコースを作り続けられる訳ですから。

ですが、デメリットが非常に大きいです。

ケトン体が生まれ、猛烈に身体が酸性に傾く

ケトン体についてはここでは省きますが、「身体が猛烈に酸性に傾く」という事だけ覚えておいてください。

そしてもう一つのデメリットが

身体を削って糖を新生する

という事。

脂肪分解なら誰もが喜びそうですが、タンパク質の分解まで入るとどんどん「やつれて」いきます。

健康的な反応ではなく、あくまで「命を繋ぐ反応」だと理解しておきましょう。

本来、糖新生は「飢餓状態」で発動するものです。

その他のホルモンについて

「ソマトスタチン」

  • インスリン・グルカゴンの分泌促進・抑制
  • 胃酸の分泌抑制など

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