肝臓の病気をまとめる by NHKチョイス
Contents
肝臓について知っておきたい事
- 肝臓を壊す原因は「お酒」だけではない。
- 肝臓は「食べ過ぎ」でも簡単に壊れる
- 370万人の肝炎ウィルス感染者がいる。
- 脂肪肝は「肝臓病」の入り口と言える
- 日本には2千万人の脂肪肝予備軍
肝臓は長らく「アルコールを分解する臓器」といったイメージが定着している為に「お酒の飲み過ぎで壊れる臓器」という固定観念が固まってしまっています。
正確には「お酒でも壊れる臓器」です。
今の日本の食生活から言うと「お酒」より「食事」によって肝臓がダメージを蓄積するケースの方が恐らく多いのではないでしょうか。
肝臓は
口に入れた異物を無毒化・無害化する臓器
です。
そして、その過程で
- 同化(合成)
- 異化(分解)
という「代謝活動」を行っています。
決してお酒を分解するだけが「肝臓に負担」となる訳ではありません。
薬を分解するだけが「肝臓に負担」となる訳でもありません。
僕らが日常口にする食物(異物)を無害化・無毒化するのも負担となっているのです。
数値でわかる肝臓の状態
画像引用:http://urx2.nu/CBQq
肝臓疾患の指標で扱われる代表的な数値は以下のものです。
- y-GTP
- 本来はタンパク質の合成・分解を行う酵素。
- アルコール分解の際にも活発に作られる。
- アルコールの過剰飲酒によって血中に漏れ出てくる。
- ALT(アラニンアミノ基転移酵素)
- 人体の殆どの組織に含まれる酵素だが、肝臓の分泌率が非常に高い。
- 肝細胞が壊れる事によって血中に漏れ出てくる。
- 肝細胞が完全に壊れると逆に流出量が低下。
- ASTに比べて特異性が高く、肝障害の指標として役立つ。
- 肝障害の場合のみ数値に異常をきたす傾向がある。
- AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)
- 肝臓、心筋、骨格筋、赤血球に分布
- 細胞が破壊されると血液中に漏れ出す。
- ALT程ではないが肝臓に特異的。
逸脱酵素という言葉を知っておこう。
上記の各酵素は「逸脱酵素」と呼ばれる状態になった酵素です。
逸脱酵素とは
「本来は細胞内にいて、役割を担っている酵素が血液中に流出したもの」
です。
血液検査で判明する数値の多くは「逸脱酵素」となった酵素なんですね。
言い換えると血液検査とは「逸脱酵素検査」と言えるかもしれません。
逸脱酵素については以下の記事をを参照してください。
[bd url=”https://www.aru-kikata.com/archives/1574″]
かなり驚いた患者さんの紹介例
肝臓を傷めてしまった患者さんの紹介例がありました。
極端な人をピックアップしたのだと思いますが、本当に驚きました。
でも、これが僕ら日本人の意識何だと思います。
余りに無知過ぎるのです。
日本酒は控えてビールを飲み続けた男性
母親を肝臓病で亡くした男性の例でした。
母親は日本酒をかなり日常的に飲んでおり、結果的に肝臓を悪くして亡くなった。
自分は肝臓がんにだけはなりたくなかったので
「日本酒は一切飲んでいない」
との事。
じゃあどうして肝臓を痛めてしまったのか。
毎日ビールを飲み、多い時は1日10本。
ちょっと意味がわかりませんでした。
母親をアルコールで亡くした息子は、母の二の舞は避けようと「日本酒を絶ち、ビールを毎日飲む」という光景。
正直、日本酒は駄目でビールは何が良いのかわかりませんでした。
そして、更に驚くべきことは
「γ-GTP」の数値に変化が起きているのにも関わらず
「ビールを飲み続けた」
という事。
これはもう、気の毒ですが「肝臓を壊さない方がおかしい」レベルの生活です。
間食も食事も控えず、運動すら余りしない女性
もう一人の例は女性です。
女性は病院で「脂肪肝」との診断を受けました。
本人は「お酒を飲まないのに脂肪肝なんて?!」と驚いた様子。
ですが、その女性は運動は苦手、でも間食は大好き、食事も大好きで肥満傾向の体格です。
「お酒」ではなく「カロリー過多」で脂肪肝になる要素がしっかりあります。
「脂肪肝=お酒」という固定観念が招いた脂肪肝だと言えるでしょう。
そして、医師からのアドバイスとしては
- 運動習慣
- 食生活の改善
- 減量も含めての話だと思います
が出ましたが、実際には
- 運動は週に1~2回、30分程度。強度は不明
- 間食は止めず
- 食生活も改善せず
となり、結果的には「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」になったというケースです。
これも気の毒ですが「必然」だと思います。
カロリー過多の状態で脂肪肝になった人が、引き続きカロリー過多の生活を継続したので、状況が悪化したというだけの話なんですね。
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とは
非アルコール性脂肪肝(NASH)についての解説サイトは沢山ありますので、
詳しい内容はそちらを参照するのが良いと思います。
当サイトでは本質的な部分だけを抜き出して解説をしたいと思います。
原因は「食べ過ぎ」と「運動不足」で殆ど説明がつく。
アルコール性脂肪肝はお酒の飲み過ぎです。
アルコールの摂取もありますが、お酒に含まれる糖質の過剰摂取が一番の脂肪蓄積の要因だと思います。
だから「糖質オフ」が流行った訳ですよね。
でも、それでは「γ-GTP」の問題は解決しないと思います。
話を戻しますが、アルコール性脂肪肝の原因はアルコールでもあり「糖質」でもある訳です。
つまり、アルコールは摂取していなくても、「糖質の過剰摂取」をしている、または糖質の2倍以上のエネルギーを蓄積している脂肪分が豊富な食事を摂っていると結局は同じゴールにたどり着きます。
要は「食べ過ぎ」なんですね。
脂肪肝はとにかく「カロリー過多」です。
脂肪肝やNASHには色んな説があると思いますが、とにかく
「カロリー過多」
で殆どの人の説明はつきます。
例外としては
- 遺伝子の問題
- 臓器の問題
等によって機能障害が起こっている場合もあるでしょう。
でも、圧倒的に多いのは「食べ過ぎ」です。
脂肪肝は「飽食」が生んだ疾患だと言って良いと思います。
NASHには活性酸素が関わるという話もあります。
NASHの原因論で活性酸素が関わるという話も出てきています。
それは確かにそうなのですが、活性酸素は代謝過程で普通に生まれる物質なので
そこまで悪者にする必要があるのかなというのが個人的な見解です。
それより、活性酸素に抗酸化機能が追いつかなくなる体内環境の方が余程重要な問題だと思います。
活性酸素については以下の記事を参照してください
[bd url=”https://www.aru-kikata.com/archives/1576″]
NASHは放置すると次の疾患に進みやすい。
これは要注意項目です。
- NASHの50%は6~7年で肝硬変に進行する。
- 更にそのうちの2~30%は肝臓がんへと進行する。
脂肪肝の状態は生命維持の観点からいっても望ましくない状態だと認識しておきましょう。
自覚症状が無いからといって自分に甘くすべきではありません。
余談:お酒の適量について
基準値の3倍を5年続けたら過剰飲酒ということでした。
また、健康診断のγ-GTP検査は事前に1週間程度の禁酒をしていると数値は正常化してしまう為、日常生活を保ったまま検査を受けるのが良いとの事です。
多分、多くの人は「瞬間最大風速」を狙って事前対策をしているでしょうから、数値は余りあてにならないかもしれませんね。
数値が正常だからと安心しないこと。
数値の異常はエンジン(身体)のオーバーヒート。
数値が正常なのは
- 「過剰摂取をしていないから内臓は正常」
- 「過剰摂取を必死に臓器がカバーしている為、内臓は極めて異常に近い」
かのいずれかです。
数値が正常だからといって油断をしていてはいけませんよという事です。
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